生産物賠償責任の補償ってどんな保険?
飲食店経営者なら知っておこう!
損害賠償責任
2022.06.16更新
飲食店の特約として紹介されることが多い生産物賠償責任の補償。お客様への補償をするための特約と言われていますが、具体的にはどのような内容になっているのでしょうか。
今回は、生産物賠償責任の補償の特約の内容について、詳しくご紹介します。
目次
他人に損害を与えた時に補償する保険
お客様と接する機会の多い飲食店では、お客様に何らかの損害を与えてしまうリスクを常にはらんでいます。そのため、他人に損害を与えた時に補償してくれる保険を備えておくことが大切です。それが生産物賠償責任の補償になります。
飲食店において生産物賠償責任の補償の対象となるのは、飲食店で提供した料理をお客様が食べたことで食中毒になってしまった場合に、損害賠償責任が問われたケースです。
他にも、料理の中にガラス片が入っていて、お客様が誤って口にしたことで口内を切ってしまった場合などにも、生産物賠償責任の補償が適用されます。
生産物賠償責任の補償の適用基準としては、飲食店が何らかのサービス提供をお客様に行い、そのサービスによってお客様の身体に障害を負わせた場合です。
飲食店では、お客様に料理を提供することが基本であるため、食中毒の発生をはじめとするトラブルとは隣り合わせといえるでしょう。
生産物賠償責任の保険へ加入しておくことで、食中毒発生によって生じるリスクを最小限に抑えることができます。飲食店を経営する上では大切な特約になっているので、ぜひ特約への加入を検討してみてください。
生産物賠償責任が補償する被害とは?
飲食店を営業中にお客様に被害を与えてしまった場合に補償してくれる生産物賠償責任は、具体的にはどのような被害に適用している特約なのでしょうか。
詳しい補償内容について紹介していくので、参考にしてみてください。
- 損害賠償金
まず飲食店が料理を提供し、それによって被害を受けた方への損害賠償金が補償されます。例えば、慰謝料や病院の通院費などが代表的です。被害を受けたお客様にお渡しするお金が対象となります。
- 損害を防ぐために使った費用
一度発生した損害は何かしらの対応を行い、再発防止に努めなくてはいけません。放置しておくと被害がどんどん拡大していくので、損害を防ぐ行為は飲食店側として当然の行動といえます。
損害の拡大を防ぐために使用した費用についても、生産物賠償責任の補償内容となっています。
- 裁判等にかかった費用
提供した料理が原因で食中毒になってしまうと、訴訟問題にまで発展することがあります。そうした場合、損害賠償金の支払いはもちろん、その裁判で負けると裁判費用も負担する必要がでてきます。生産物賠償責任の補償は、裁判において要した費用を補償可能です。
また裁判になるということは、弁護士への依頼・相談が必要となるでしょう。弁護士への依頼費用も生産物賠償責任の補償の対象となります。
このように、生産物賠償責任の補償はトラブル発生に伴うさまざまな諸費用が補償対象となります。
生産物賠償責任の注意点
生産物賠償責任の補償内容は、損害賠償金だけでなく、裁判費用をはじめとするトラブル発生に伴う費用を補償してくれるため、いざという時に心強い補償となっています。
しかしながら、生産物賠償責任の補償がすべてのトラブル・内容に対して補償対象になるというわけではありません。そのため、加入に際して知っておかなくてはならない点、注意すべき点を把握しておく必要があります。特に次の3点については知っておきましょう。
1.重大な過失
飲食店の対応が悪く、重大な過失であると認められた時には、生産物賠償責任の補償を受けることができません。飲食店で食中毒が発生した場合で考えると、重大な過失とは賞味期限切れの食材を使用し、お客様に提供したなどです。
重大な過失と判断されるケースは、状況によって異なります。基本的には、本来であれば避けることが出来た事例に対して、十分な対策を店舗側が行わなかった時に認められます。
- 故意の事故
生産物賠償責任の補償は、偶然の事故による店舗側の損害賠償責任が発生した時に補償される特約です。そのため、店舗側がわざと発生させたと判断された場合、生産物賠償責任の補償を受けることができません。
極めて悪質と考えられた場合は、罰則が与えられることもあります。
- 自己負担額がある
偶然の事故によって引き起こされた損害賠償責任に応じて生産物賠償責任の補償を受けることができますが、全ての金額を補償するものではありません。
自己負担が必要な額が決められているため、全額補償してもらえるものではないということを理解しておきましょう。
生産物賠償責任保険の保険料はどう決まる?
生産物賠償責任保険の保険料は、保険会社によって異なります。多くの保険会社は、保険の対象である生産物の種別や、生産物の売上、保険金の支払限度額や免責金額、プラスする補償、加入期間などを加味して、保険料を決定します。個別のケースに合わせてきめ細かく保険料を決定する保険会社もありますし、画一的に保険料を算定する保険会社もあります。基本的には保険金額や売上高が高額になれば、保険料は上昇します。
生産物責任保険(PL保険)の選び方
生産物責任保険はPL保険とも呼ばれ、Product Liabilityの略です。こちらでは、生産物責任保険の選び方について解説します。
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生産物責任保険は、基本の補償の金額を自分で決定できます。保険料ばかりを考慮して保険金額を安く設定してしまうと、事故が発生したときに多額の自己負担が生じるリスクがあります。自社が製造した製品が原因で火災が発生したケースでは、5,000万円を超える賠償金の支払いが命じられました。飲食店での食中毒でも数百万円の賠償金を支払う必要があります。一般的に、 生産物責任保険は法的に被害者に支払うべきとされている損害賠償金に加えて、示談交渉のための弁護士費用や、事故発生時の応急処置費用を支払う保険です。 生産物責任では賠償額が高額になるケースが少なくありません。製造業においては、支払限度額を5,000万円から1億円に設定するケースが多い傾向です。
自社の事業に必要な保険金額を設定する
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生産物責任保険を選ぶ際は、自社の特性に即した特約を付保する必要があります。例えば製造業の場合は、製造した製品に重大な欠陥が認められた場合は、リコールを実施する必要があります。製造物責任保険は、被害者に賠償金を支払う保険ですので、リコールに伴う費用は支払われません。そこでリコール費用をまかなう特約を付保する必要があります。また保険料の負担を低減するための、補償内容を限定したリコール特約も存在します。
自社の事業に即した特約を付保する
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生産物責任保険は事業の特性を理解した上で、特約を付保したり保険金額を決定したりする必要があります。したがって製造業や工事業、飲食業の保険加入に精通した保険会社や、代理店を通じた加入が望ましいです。こうした法人向け保険の取り扱い実績が豊富な保険会社や代理店であれば、事故が発生した際の対応も的確でスピーディーです。
信頼できる保険会社で契約する
補償内容を理解した上で契約しよう
生産物賠償責任の補償は、補償可能な額や内容が保険会社やプランによって異なります。
そのため、どこまで補償できるものなのか、保険料はどの程度かかるのかなど、補償内容をしっかりと理解したうえで最適なプランを選択する必要があります。
生産物賠償責任の補償は、飲食店側が提供するサービスに問題があった時に発生する補償であるため、飲食店経営者のこの特約への加入は必要といえるでしょう。
自分の店舗に必要な特約か判断できない場合は、保険スタッフに相談してみるのがおすすめです。プロが見極めて保険プランを立ててくれるので、安心して任せることができます。
飲食店経営において重要な役割を果たす生産物賠償責任の補償ですが、他にも飲食店で加入がおすすめの特約が多く存在します。今回は飲食店におすすめの特約を一部ご紹介します。
- 借家人賠償責任補償
テナントである店舗や事務所に対して火災や爆発によって被害を与えて損害賠償責任が求められた場合に、借家人賠償責任補償の特約で補償することができます。
家主様への補償をするための保険なので、借家人賠償責任補償への加入は家主様の信頼を獲得することに繋がります。
借家人賠償責任補償に加入していないと、万が一トラブルが発生した場合に自己負担になる可能性があります。テナントで飲食店を経営する場合は、加入することをおすすめします。
- 施設賠償責任補償
施設の使用によってお客様の身体に障害、器物の損壊の被害を与えた際に、損害賠償責任を求められた場合に施設賠償責任補償が適用されます。
施設賠償責任補償は、例えばお店の床が濡れていたことでお客様が転んでしまい、怪我を負った際などに補償してくれる特約です。
他にも、看板が倒れたことでお客様が傷を負った時や車の傷が発生したケースなども対象となります。
施設に重大な過失がある場合や故意による事故であって場合は、施設賠償責任補償が適用されないため、その点は注意しましょう。
まとめ
他人に損害を与えることで補償が適用される生産物賠償責任の補償は、飲食店では欠かせない特約の一つです。食中毒の発生は気を付けていても発生する恐れがあります。
そのため、賠償責任が問われることを意識して、早めに加入しておくことがおすすめです。後手に回ってしまうと、問題が発生した時に、対応することができなくなるので、プランを検討して、早めに加入の有無を決めるといいでしょう。
他にも、飲食店におすすめの特約は複数あります。加入した分だけ保険料が高くなるため、まずは絶対に必要と感じる特約に入り、経営が軌道にのってから追加での加入を検討すると良いでしょう。
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