店舗の外で起こった事故はお店の責任?
賠償責任の有無を解説!
損害賠償責任
2019.05.19
店舗の中でトラブルが起きた場合はもちろんお店の責任になりますが、店舗の外で事故が起こった場合、誰の責任になるのでしょうか。特に駐車場での事故は多く、誰の責任になるのかは把握しておくべき事例といえます。
今回は、店舗の外で起きた事故は、お店の責任になるのか賠償責任の有無を確認してみましょう。
駐車場での事故は賠償責任なし
敷地の広さや規模にもよりますが、店舗によっては駐車エリアや通路が狭く、十分なスペースが確保されていないことがあります。こうした場所ではとくに駐車場での衝突事故が多く、飛び出してきた人との接触で、人身事故が起きる可能性もあります。
駐車場で起こった事故については、屋内外に問わず店舗側が責任を問われることはありません。駐車場は厳密にいうと道路ではないものの、不特定多数の車が出入りするポイントです。
そのため、法律上では駐車場のことを道路とし、道路交通法で定められていることが基準になります。駐車場で起こした事故は道路で起こした事故と同義で、当人の過失や責任が問われるため、店舗の責任とは関係ありません。
一般的に事故を起こした当事者は、警察を通じて話し合いの元、解決する方法が取られます。
店舗に落ち度があった場合は施設賠償責任補償が適用
基本的に駐車場で起こった事故に関しては店舗側に責任がないため、事故が発生しても関係はありません。しかし、店舗に落ち度があり、なおかつその影響で事故が発生した場合は店舗側に責任が問われる可能性があります。
店舗に落ち度がある場合とは、いったいどのようなケースなのでしょうか。
- 樹木が倒れた
店舗が所有している樹木が倒れて駐車場に止まっていた車にぶつかり、車に傷が生じた場合は店舗側の責任になります。損害賠償責任が発生するので、店舗側は相応の対応をする必要があるでしょう。
事前に把握していたにも関わらず放置していた場合は、重大な過失として補償に入っていても保険外扱いになる可能性があります。トラブルを発見した時点で、速やかに改善するようにしてください。
- 看板が落下
お店の看板が落下したことでお客様や車に傷をつけた場合は、店舗側に損害賠償責任が生じます。速やかに慰謝料や修理代を出すなど、相応の誠意を示す必要があります。
基本的に、店舗側に落ち度がある場合は施設賠償責任補償が適用されます。施設のトラブルが原因でお客様に被害が及んだり、器物損壊に影響した場合、施設賠償責任補償で対応することが可能です。
施設賠償責任補償は店舗総合保険の特約になっています。事前に加入しておき、こうした店舗外でのトラブルに備えておくことも重要といえるでしょう。
事故処理しないと保険が適用されない
施設によるトラブルでお客様に怪我を負わせたり器物損壊させたことで、店舗側に損害賠償責任が生じる場合は、事故処理が完了しないと施設賠償責任補償を受けることができません。
そのため、お客様に怪我をさせたため慰謝料を渡して帰ってもらうのではなく、事故状況を保存し、警察立会いのもと事故処理を行う必要があります。
そうすることで、事故が発生したことを保険会社も正しく周知することができ、どの程度の保険金がおりるのかを円滑に計算し、処理を進めることが可能です。事故処理がうまくできていないと事故状況を正しく把握することができず、保険金を受け取ることが出来ないのです。
トラブルが起こってしまった場合は仕方がないですが、事前にトラブル発生を阻止することはできます。看板や樹木などトラブルの原因になりそうなものを除去しておくなど、対処できることはしておきましょう。
また、駐車場での事故を防止する方法を考えることも大切です。
例えば、一般の方が出入りできないようにフェンスなどを取り付けること。無用な人の立ち入りや人身事故の発生を予防することができます。
常夜灯をつけておくのもおすすめです。暗い夜の事故の発生を低減させることができます。
駐車場内に張り紙をつけておけば使用ルールを知らせることができるため、事故を減らすことができるかもしれません。
このように、駐車場での事故を未然に防ぐための手段は数多く存在します。ぜひ検討してみることをおすすめします。
店舗総合保険で外部からの事故を補償
店舗総合保険では、外部からの突発的な事故に対して手厚く補償してくれます。そのため、例えば駐車場から出てきた車が店の塀や門にぶつかった場合などは、店舗総合保険で補償してもらうことが可能です。
店舗総合保険は他にも、火災や落雷などの自然災害や盗難などの予期せぬトラブルにも対応可能な保険です。そのため、店舗を経営する上で、店舗総合保険へ加入しておくことは重要なことといえます。まだ加入していないという方は速やかに加入手続きを行い、店舗に合った保険プランを立てることをおすすめします。
店舗総合保険は重要な保険ですが、業界業種によっては特有のトラブル発生のリスクがあります。こうした店舗ごとのリスクに備えるためには、特約への加入を検討する必要があるでしょう。以下で業界業種ごとにおすすめの特約をご紹介します。
- 生産物賠償責任の補償
飲食店の特約におすすめです。店舗で提供した料理を食べたお客様が食中毒になってしまい、損害賠償責任を負う時に補償してくれます。
食中毒による慰謝料などは、被害者が多いほど高額になります。そのため、生産物賠償責任の補償に加入しておくと安心です。
- 食中毒見舞保険金(営業停止見舞金)
飲食店で食中毒が検出された場合、一時的に休業しなければなりません。その際に休業中の日数に応じて補償をしてくれるのが、食中毒見舞保険金です。食中毒による影響は大きいため、再建には多額の資金が必要になります。食中毒見舞保険金があれば店舗再開時の大きな補填となるため、飲食店を経営する上では特約に入っていた方がいいでしょう。
- 受託者賠償責任の補償
理美容・サロン業におすすめの特約です。お客様の荷物に破損・盗難・紛失といった被害を及ぼした場合に、店舗側に損害賠償責任が問われると補償の対象になります。
理美容・サロン業ではお客様の荷物を預かるのが業務の一環でもあります。お客様の荷物に何かあった時のことを考え、加入しておくのがおすすめです。
- 施術行為起因損害賠償責任の補償
理美容業では専門のハサミを使用してお客様の髪の毛を切るため、誤って顔を切ってしまうリスクがあります。そんな時に、補償可能なのが施術行為起因損害賠償責任の補償です。
理美容業では施術中に怪我をさせる可能性は大いにあることから、特約には入っていた方が良いでしょう。
まとめ
店舗の外で起きた駐車場での事故は、基本的には店舗側の責任は問われません。
ただし、店舗の看板が落ちたり、樹木が倒れることで、お客様に怪我や器物損壊を与えてしまった場合は、店舗側に損害賠償責任が問われます。こうしたケースに備えるためには、施設賠償責任補償への加入が必要となります。トラブルが発生する前に、保険プランの一つとして加入を検討してみてください。
自分の店舗ではどのような保険や特約がおすすめなのかわからない場合は、保険スタッフに相談してみましょう。最適な保険プランを提案してくれるので、安心して任せることができます。
店舗を経営する上では、保険や特約の見直しは重要になります。今後のことを考え、最適な保険への加入で店舗の安全を守っていきましょう。
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